コラム

COLUMN

小さな資本で叶える大きなビジネス

現在フランチャイズ展開を考えている方々は、既に何らかのビジネスを運営していらっしゃることと思います。自分だけでは、または自社だけではこのビジネスを大きくすることはできないけれど、フランチャイズという仕組みを使えば、このビジネスを成長させていかれるに違いない、と考え、フランチャイズに興味をお持ちになったことと思います。

 確かに、フランチャイズというのは小さな資本力しか持たない事業者が、そのビジネスを大きく発展させるのに有効な方法です。例えば現在300万円の資本金で事業を行っているとします。これではとても、何億という資本で事業を行っている大企業には太刀打ちできません。ここで、フランチャイズ展開を始め、300万円資本金を持つ企業が100社集えば、3億円の資本で事業を行うのに匹敵する力を保有できるはずなのです。

 しかしこのとき単純に100倍の力が発揮できるかというと、そうはいかない事もあり得ます。それは、フランチャイズというのはご存じのように、異なる経営体の集合です。加盟者各々が各々の方向を向き、各々に利益追求のために経営努力を重ねていくことになります。一方大企業は、その1社の利益のために一丸となって進んでいきます。この点が、資本力では対等となっても大企業とは異なる点です。

 せっかく集まった100倍の力を確実に発揮し、事業展開を進めるためには何が必要でしょうか。複数の異なった経営体が有効に結びつき、その力を十二分に発揮していくためには、加盟者である各々の経営体全員が共有できる理念が必要です。全員が同じ方向を向き、経営努力を重ねて行かれるような経営理念です。そして共通の目的、目標を設定し、そこに向かって加盟者が一丸となって邁進できる共同体制を築かなければなりません。それでこそチェーンのブランド力も高まり、個々には小さな経営体であっても、大企業に対抗できる力が発揮できるのです。

フランチャイズ・チェーンは契約ビジネスであり、契約によって複数の経営体が結びつくものです。しかしそれだけでは十分とはいえません。加盟者全てが納得して共有できる、確たる経営理念の構築が、フランチャイズ展開の第一歩です。

大橋 美香
中小企業診断士
大橋 美香
コラム著者のご紹介

1987年信州大学経済学部卒。松井証券株式会社を経て、大橋税理士事務所に勤務。1995年に中小企業診断士に登録。小売業、飲食業、サービス業等広い分野のクライアント様の経営支援、会計・税務業務の支援をしている。フランチャイズでは主に飲食業のマーケティング関連の支援をはじめ、市場調査、研究、執筆をしている。