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【最新FCトレンド|飲食業】中食市場の伸展と外食業界のIT化推進

日本フードサービス協会の調査によると,2017年の外食産業市場規模は前年比0.8%増の25兆6561億円で6年連続の伸長となりました。1人あたりの外食支出額が増えたことに加えて,訪日客増によるインバウンド需要の増加も寄与したようです(日経朝刊:2018/7/31:2P)。一方,日本惣菜協会によると,2017年の中食市場規模は前年比2.2%増の10兆555億円となり初めて10兆円の大台を突破し,外食市場規模の1/3超となりました(日経朝刊:2018/5/26:6P)。

中食市場10兆円のうち,2/3がスーパーや総菜専門店,1/3がコンビニ惣菜ということですが,中食市場の伸長はコンビニ惣菜に寄るところが大きいと見ています。夕食を自炊ではなく手軽に惣菜で済ませようという消費者ニーズが高まっている,と見たファストフード業界は,夕食として利用できる満足感のあるメニューの提供を始めています。お好みでパテなどが増やせるマクドナルドの「夜マック」,サンドイッチの長さや具材の量が2倍になるお得なサブウェイの「夜サブ!」,トマトやタマネギをソテーして重量を2倍にしたモスバーガーの「ごちそうチリバーガー」などが,その例と言えるでしょう(日経MJ:2018/7/18:1P)。

小売と外食の垣根を取り払うグローサラントの導入で,スーパーなどの小売業界は惣菜市場での地位をキープしようとしています。外食業界では,テイクアウト商品を導入して中食需要を取り込もうとしています。スーパー,コンビニ,外食で,伸長している中食市場のパイをどのように取り合っていくのか,今後目が離せません。

 

そのような外食業界では,IT導入による運営効率化が進んでします。筆者は個人的には,人や接客の部分をITに置き換えることについては慎重に考えたいと思っていますが,管理に関しては合理化効率化を進めるべきだと思っています。ただし,やみくもにITを導入すればよいのではなく,管理業務の標準化や仕組み化ができてから,ということになるでしょう。それでは,外食業界のIT導入事例を7月の記事からピックアップしてみましょう。

バーガーキングは,タブレットで商品を注文できる店舗を増やしていく方針です。タブレット上では,具材の追加などのセルフオーダーとその仕上がりイメージが確認できる仕様になっており,注文時のサービス向上につながりそうです(日経MJ:2018/7/27:13P)。

ロイヤルHDは,食器洗浄業務にロボットを導入します。人間には負荷のかかる中腰での作業をロボットに任せ,人間は接客などの付加価値の高い業務の割合を増やします。まずは傘下の「シズラー新宿三井ビル店」にロボットを導入し,1年間かけて人が関わる作業時間の半減を目指すとしています(日経MJ:2018/7/4:13P)。

ゼンショーHDは,「すき家」でアマゾンアレクサ(音声認識AI)を使った弁当予約サービスを始めました。昨年11月から試験的に牛丼のみに導入していましたが,本年7月からテイクアウト全製品に対象を広げて対応する予定です(日経MJ:2018/7/4:13P)。

吉野家HDは,グループ各社の業務システムをクラウド型サービスで統合し,人事,販売などのデータを一元管理します。グループ経営の効率を高めるとともに,商品やサービスの質向上も企図しているようです(日経MJ:2018/7/6:13P)。

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山岡 雄己
中小企業診断士
山岡 雄己
コラム著者のご紹介

1965年松山市生まれ。京都大学文学部卒。サントリー宣伝部を経て2002年独立。フードビジネスに強いFCコンサルタント。経営戦略策定からプロトタイプ開発、FCパッケージ開発まで、広範に本部構築を支援する。ぐるなび大学、日経FCショー講師、日経リポート執筆等、講演執筆多数。法政大学経営大学院 兼任講師。