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【最新FCトレンド|小売業】CVSの7月の動き(2017.8.3)

JFAが発表した6月の統計では、国内のCVSの対前年同月比の売上は0.1%の減少となりました。原因はスーパー等との競争と天候不順で来店客数が0.5%減となったためで、一方で店内調理の総菜類の客単価は0.4%の増となっています。

そんな中、セブンイレブンの国内売上高シェアが40.4%と4割を超えました(日経新聞「2016年度コンビニエンスストア調査」による)。ランチェスター販売戦略のシェア理論によれば、「安定的一番シェア」達成ということになります。ただし、これでこの先安泰かというと決してそうではなく、業界全体としては5年連続で客数の減少に歯止めがかかっておらず、1日当たりの平均来店客数が984人となり、9年ぶりに1,000人の大台を割り込んでいます。ここ4~5年の大量出店もこの先は鈍化するものと考えられ、出店攻勢を続けるドラッグストアとの競争も強まっています。

筆者は6年前、月刊コンビニ(商業界)からの依頼で、「コンビニの店舗数飽和のXデーはいつか?」というテーマでレポートを寄稿しました。当時、店舗数が45,000店を超えたところでしたが、その時の予測では、2017年度には50,000店を超えるが成長は鈍化してくる、というものでした。結果は、セブンイレブンをはじめとする戦略的大量出店により、予測カーブを5,000店かさ上げするものでしたが、今後の増加曲線の鈍化は当時の読みと近いものになっていくと考えられます。

また、当時は上位4社(当時はサークルKサンクスは別チェーン)のシェアが約77%でしたが、これら上位チェーンの業界シェアが限りなく90%に近づいていくものと予測し、そのラインを超えた段階で業界全体の成長は鈍化していく、と考えていました。現在、上記調査による大手3社の売上高シェアはコンビニ全体の89.2%となっており、ほぼ予測通りの状況が出現しています。

マーケット全体が成長期にある業界は、中位の本部であっても“それなりに”シェアを伸ばせるものです。しかし、成長が上位の本部にのみ集中する状況になったマーケットは、全体としての拡大が止まり成熟状態に入ります。今回の調査で、5位のデイリーヤマザキ以下の中堅チェーンが軒並み売上を落としている状況を考えると、今後の国内コンビニマーケットはいよいよ天井が近くなってきていることが推察されます。

 セブン‐イレブン
  • 都内約1千人の社員を対象に時差出勤を試験導入(日経:2017/07/06:P14)
  • 移動販売を拡大(日経:2017/07/12:P14)
  • 野菜多めでカロリー控えめのサンドイッチを発売(日経MJ:2017/07/21:P15)
  • シェア4割を突破(日経:2017/07/26:P15)
  • NECと発注端末を改良し、売り場情報の共有を容易化(日経MJ:2017/07/26:P15)
ファミリーマート
  • カネ美食品を子会社化 総菜販売を強化(日経:2017/06/29)
  • 店舗への配送効率化を目的として、配送拠点を約2割削減へ(日経:2017/07/06:P15)
  • 店舗スタッフ約8万人を対象に8月より健康診断受診料の一部補助制度を導入(日経:2017/07/07:P14)
  • 11年ぶりにレジを刷新(日経:2017/07/10:P5)
 ローソン
  • セーブオン、2018年度中に全店舗をローソンに転換へ(日経MJ:2017/07/03:P15)
  • 子育て応援店舗を改装開店(日経MJ:2017/07/17:P15)
  • 3〜5月営業益7%減、加盟店の支援費が重荷(日経:2017/06/30)
  • オイシックスの料理キットをローソンで販売(日経MJ:2017/07/24:P19)
 その他・全般
  • コンビニエンスストアが外国人アルバイト活用を急ぐ(日経MJ:2017/07/17:P15)
  • コンビニの既存店売上高、4か月ぶり減収(日経MJ:2017/07/24:P15)
西野 公晴
中小企業診断士
西野 公晴
コラム著者のご紹介

1960年三重県伊勢市生まれ。東京学芸大学教育学部卒。株式会社インテージを経て1993年独立。「正しいことを分かりやすく伝える、良い点を最大限伸ばす」をモットーに、FC本部の構築をはじめ、商業施設の立地診断・出店戦略策定・事業計画の立案を指導。 (社)日本フランチャイズチェーン協会SV学校講師、同研究会員。